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憲法9条牛久の会

聞き歩き

九条の会事務局・九条科学者の会共催 学習会 「憲法九条の新たな危機に抗して」参加報告

日  時
2013年3月3日(日) 13:30~16:00
場  所
東京(明治大学リバティタワー)
参 加 者
450名
実施内容

オープニングアウト:ベアテ・シロタ・ゴードンさんを偲んで
(『映画 日本国憲法』のDVD一部上映)

講演:

  1. 「日本政治の右傾化と憲法の危機」-危機打開・活憲に向けての大運動を-
    (講師:五十嵐 仁/法政大学大原社会問題研究所教授)
  2. 「ここが危ない!集団的自衛権」
    (講師:松田 竹男/大阪市立大学教授)

要  旨

<オープニング>
・『映画 日本国憲法』より、ベアテさんの登場部分を上映。
・日本国憲法は民間団体の『憲法研究会』の草案を参考にしたこと等が語られる。

<開会挨拶>(小森陽一/九条の会事務局長)
・安倍首相は集団的自衛権をオバマに約束してきたと東京新聞で報道されている。
・憲法9条を活かす取り組みが必要である。
・九条の会としては、今後、次の取り組みを行う。

・6月8(土)日に、「日米安保と憲法9条」をテーマにした学習会を開催。
・秋には、憲法学習会を開催。

<講演1>「日本政治の右傾化と憲法の危機」

  1. 政治的右傾化の現段階
    1. 衆院選の結果、ダメな内閣から危ない内閣へ
      ・改憲勢力は1.6倍。護憲勢力は1/3減。当選者の9割は改憲派。
      但し、有権者の賛成は45%。
      ・改憲の尖兵としての日本維新の会の登場。安倍首相の復帰。
      ・「小選挙区制」に罪あり。
    2. 安倍新政権による新たな攻勢
      ・尖閣諸島等の領土問題、北朝鮮によるミサイル発射等の「危機」の利用。
      ・96条改憲と自衛隊の「国防軍」化による海外での武力行使と徴兵制の危険性。
    3. 右傾化の背景
      ・社会的背景:貧困化の増大と格差拡大による不満と不安の増大。
      ・政治的背景:閉塞感の高まりと「受け皿」の不可視化、ポピュリズム化。
  2. 増大する憲法の危機
    1. 内閣と国会における力関係の変化
      ・内閣:解釈改憲派から明文改憲派へ。
      ・国会:自民+公明でも、自民+維新でも衆院の2/3超の議席。
    2. 突破口としての改正手続き緩和
      ・先ずは96条改正に取り組むと衆院本会議で言及。
    3. 世論の動向
      ・改憲は必要(51~58%)だが、改正手続きや9条改正には反対
  3. 危機打開に向けての課題
    1. 改憲論の危険性、嘘とデタラメを暴露する。
      ・自民党改憲案の危険性→憲法の3大原理の否定と改変
      ・国防軍化の欺瞞(安倍首相の2006年答弁と2012年答弁の自己矛盾)
      ・武器輸出3原則の緩和:米国・財界の要求にも合致しない。
    2. 現行憲法の意義と可能性を明らかにする
      ・日本国憲法は、「一周早いラストランナー」
      ・米法学者等が188カ国を分析。日本国憲法は今も最先端
    3. 今こそ「活憲」を
      ・憲法を「解凍」し、理念・原理の具体化を図る。
      ・自衛隊は当面は縮小、改組・再編による国際緊急解除隊へ転換。
  4. むすび
    ・改憲を提起できない世論・力関係を生み出すため、知り・学び・伝えることが重要。
    ・改憲阻止の一点での共同・大同団結を呼びかける

<講演2>「ここが危ない!集団的自衛権」

  1. 集団的自衛権の問題
    ・安保理決議に基づく活動でも、武力行使を伴うものは参加できない。
    ・既に集団的自衛権に(90%位)踏み込んでいる。
    ・集団的自衛権は、「判定者」がいないことを前提にした権利。
  2. 国際的な平和活動
    ・平和維持活動(PKO):武力不行使は非常識で、非難の対象となるか?
    ・多国籍軍:不完全な警察活動、ルーズな運用、集団的自衛権との併用。
    ・自民党の憲法改正草案:NATOの軍事行動、日米間共同行動も?
  3. 最近の諸問題
    ・北朝鮮の核・ミサイル問題:何故、北朝鮮だけを問題にするのか
    ・尖閣問題:日中双方に問題。日本は棚上放棄。中国は所有権と領土問題を誤解。
    ・射撃レーダ照射問題:正確な場所・情報の報道なし。尖閣とは位置がずれている。
    ・アルジェリア人質事件:警察権の問題である。

所  感

 DVDの上映では、当時の小泉首相が「日本人としての精神が試されている。日本国憲法をよく読んでください」と言うシーンで、会場の失笑を買っていたのが印象的に残った。日本国憲法は、先の憲法研究会の草案が参考にされ、国民も指示したとするのが定説であると私は信じている。しかしながら、GHQの押付け憲法とする人もいる。現憲法に反対する人が、どのような論旨で反対しているかも学んでおく必要がある。

 五十嵐氏は、結びで、自らの体験を交え、政治信条や政治的立場を越え、改憲阻止の一点での共同・大同団結を呼びかけた。閉会の結びの言葉でも引用されたが、闘いの原則は味方を増やすことである。また、五十嵐氏は、憲法9条を守る活動への若者の参加には、IT手段の活用が重要であると答えたが、同感である。

 松田氏は、憲法が今のままでも集団的自衛権を行使する体制は、既に90%まで進行 していると語った。憲法を守らせる監視活動も重要であると感じた。

 なお、本集会の様子はビデオで公開する予定とのことであった。九条の啓蒙のことを考えると、DVD販売ではなく、インターネットで無料公開されることが望ましいと考える。

 隣接会場の福島原発のイベントも盛況であった。様々取り組みで、これらの熱気を多くの人が感じ、憲法を護り活かすことにつながることを望む。

以上

(報告者:「憲法9条 牛久の会」世話人 九条 護)

「建国記念の日」反対 「2013年2.11集会」参加報告

日  時
2013年2月11日(月)
場  所
東京(日本橋公会堂ホール)
実施内容:
講演

新段階の日本政治と憲法・アジア (講師:渡辺 治/一橋大名誉教授)

各分野からの発言

反原発の運動     (発言者:石原 和 /新日本婦人の会)
東京の「教科書問題」 (発言者:-非公表-/都立高校教職員)
沖縄と基地・安保   (発言者:宮城 久緒/琉球新報記者)

要  旨

<開会挨拶>(中嶋 久人/東京歴史科学研究会)
・本集会は、1967年に開催し、毎年実施している。
当時はベトナム戦争が実施されていた時期である。当時と今の状況は変わらない。
・今、危機はより深刻化し、戦争の危機、生存権の危機を感じる。

<講演>「 新段階の日本政治と憲法・アジア 」

  1. 総選挙の結果、日本政治は新段階に突入-構造改革・軍事大国化の容易ならぬ事態
    1. 衆院選の3つの特徴が示す政治の新段階
      ・自民党は議席で圧勝したが、政治基盤は脆弱
      ・保守二大政党は劣化し、保守連合政治体制でないと悪政強行できない
      ・反新自由主義の昂揚が政治転換に結びつかず

      ・官邸前集会、反TPPの新たな大衆運動の昂揚が政治転換に結びつかず
      ・小選挙区制の害悪

    2. 安倍政権で、日本の政治は新段階に突入(新自由主義第3期)
      ・新自由主義の停滞に対する大攻勢-財界・アメリカの苛立ちと圧力が背景
      ・保守総がかり体制
      ・新自由主義に終止符打つ運動(脱原発運動、反TPP集会等)の本格的台頭
  2. 安倍政権は、構造改革、軍事大国化、改憲をめざしてくる
    1. 課せられた2つの課題と矛盾
    2. 「デフレ脱却」掲げ、新自由主義・構造改革の大攻勢をかけてくる
      ・消費税アップ(10%にとどまらず)、社会保障削減等
      ・大企業の投資先としての原発再稼動、ベトナムへの原発輸出、サウジアラビアとの原子力協
      定締結等、そしてTPP推進
    3. オバマ政権の圧力で、防衛費増加・集団的自衛権容認に向かう
    4. 「新保守主義的」社会統合策
      ・教育改革(格差と選別の教育政策等)による新自由主義・構造改革と新保守主義、
      社会の保守的まとまり策の両方の害悪   
    5. 改憲戦略-9条改悪による軍事大国化、民主主義体制の破壊による構造改革の推進。
  3. 新自由主義・改憲を阻む国民運動の課題
    1. 新たな運動からの教訓
      ・九条の会型運動の3つの教訓

      ・九条改悪反対の一点で良心的な保守の人々とも共同-加茂市の事例
      ・地域に根ざした九条の会組織(7,500強)の頑張り
      ・新しい社会層の参加-原発さよなら集会等の新たな動き、農協・医師会も巻き込んだ地域を拠点にした反対運動の盛り上がり

      ・総選挙が示した、運動が政治を変える萌芽

      ・被災3県の共産党の前進、沖縄での共産党の躍進(共・社で自民超え)
      ・都知事選での新たな共同の試み

      ・都知事選での新たな共同の試みを発展させる

      ・社民・共産の共同は29年ぶり。未来も参加。
      ・美濃部都政時にも実現しなかった市民運動と政党の共同を実現

    2. 安倍政権の新自由主義の大攻勢にどう立ち向かうか
      ・原発再稼動、集団的自衛権立法等を阻む国民運動を一点共闘から国民連合へ
      ・社会保障費削減、企業リストラに反対し国内市場を求める大運動を
      ・新自由主義・軍事同盟強化に終止符を打つ福祉国家型政治の対案を突きつけよう
    3. 国民運動で改憲を阻み、憲法の生きる日本を-世界とアジアへの責任
      ・学習会を組織-自分たちの言葉で、憲法の意義と力を語ろう
      ・解釈・立法改悪に反対する鋭い運動と九条の会運動による国民連合の結成

<各分野からの発言> 反原発の運動

・福島の子どもの肥満率が高いとの報道-運動不足(外で遊べない)
・各地の署名・要望活動、地域に広がる原発反対行動等を紹介

<各分野からの発言> 東京の「教科書問題」

・都教委による高校教科書採択妨害で、実況出版の「日本史A」が採択ゼロに。
・靖国史感を垂れ流す東京都独自科目「江戸から東京へ」の履修を義務化

<各分野からの発言> 沖縄と基地・安保

・沖縄全41市町村の建白書を政府に提出
・埋立て申請:知事が断る状況をつくる取組み、強制執行をさせない取組み
・1月26日付「琉球新報」(別刷り)を希望者に先着順で配布

<質疑に答えてとまとめ>

・米の対中政策は、時の政権が「封じ込め」「自由化推進」のどちらかに軸を置いて推進。現政権は、封じ込めに軸。日本への軍事分担を強化
・自衛隊・安保を必要と考える人との閾値をさげた運動が重要
・憲法を守るには、労組・市民団体等が個別問題に取組み、九条の会は輪を広げる両輪の取組みが必要

所  感

 配布資料を参照していると、約10年で自・民の二大政党は得票率を約3割減らしている。この票は、社民・共産には流れず、社民・共産も約4割減らしている。小選挙区制の弊害と、権力維持の観点での報道が目立つマスコミの弊害を感ぜずにはおられない。

 対照的であったのが、1.26付『琉球新報』の誌面である。「オスプレイ配備撤回要請」一色である。沖縄の強い思いを感じぜずにはおられない。当日の発言でも、無視する社がある等マスコミの報道はいまひとつとのことであったが、マスコミが事実を客観的に報道するだけで、国のあり方が変わるのではないかと強く感じる。

 九条の会活動への若者の参加が少ないことが質疑であったが、一手段としてインターネットの活用があるとの回答であった。マスコミに対抗する大きな力が、私は「口コミ」と 「インターネットの活用」(ホームページ、ブログ等)ではないかと考えている。現状の各地の九条の会は、前者では力を発揮しているが、後者は遅れていると感じている。日常的な情報流通、そして、きては欲しくないが、国民投票の実施も想定し、各地の九条の会が、もっとインターネットの活用を考えるべきではないかと感じた。

以上

(報告者:「憲法9条 牛久の会」世話人 九条 護)